「IT業界はやめとけ」と言われると、未経験から転職して大丈夫なのか不安になります。とくに文系出身で、エンジニア以外にどんな仕事があるのか分からない人は、ネットの強い言葉だけを見て応募を止めてしまいがちです。
先に結論を言うと、IT業界の平均値だけを根拠に「やめとけ」とまでは言えません。厚生労働省の令和7年の統計では、情報通信業の離職率は全産業より低く、月の賃金は20代を含めて全産業より高い一方、残業は月3.3時間多いという結果です。
本当に見るべきなのは、業界名よりも会社の立ち位置、担当職種、入社後の育成です。この記事では、自社サービス、元請け、下請け・SESの違いを整理し、求人票と面接で後悔しやすい職場を見抜く質問まで紹介します。エンジニアではなくSaaS企業の営業へ転職した僕の経験も、職種選びの材料としてお伝えします。
結論|「やめとけ」が当たるかは業界ではなく”会社の立ち位置”で決まる

同じIT業界でも、誰が仕事を受注し、誰が仕様を決め、どこで働くかによって日常は大きく変わります。「IT企業だから将来性がある」「SESだから避ける」と看板だけで決めるのではなく、自分の会社が顧客と仕事の間のどこにいるかを確認することが出発点です。
自社サービスは、自社で企画したSaaSやWebサービスを顧客へ提供する形です。営業、開発、カスタマーサクセスなどが同じサービスを育てるため、利用者の反応が仕事につながりやすい反面、事業の成長状況や組織の変化に影響されます。
受託・SIerの元請けは、顧客からシステム開発や運用を直接請け負い、要件整理や進行管理を担います。大きな案件に関われる一方、顧客都合の納期や調整が仕事の重さになりやすい立ち位置です。
多重下請けの下層・SESでは、別会社が決めた案件へ人員として参画し、客先で働く場合があります。未経験者が実務経験を得る入口になることもありますが、配属先を選べない、評価者が日々の仕事を見ていない、教育責任が曖昧という条件が重なると「やめとけ」が現実になりやすくなります。
なお、IT業界にはエンジニアだけでなく、営業、カスタマーサクセス、マーケティング、サポート、管理部門もあります。業界への興味とプログラミングへの適性は別の話です。業界、会社、職種の順に分解すれば、「自分はIT業界に向かない」と早合点せずに判断できます。
IT業界が「やめとけ」と言われる7つの理由
「やめとけ」という意見には、IT業界全体に当てはまる話と、特定の職場だけで起きやすい話が混ざっています。ここでは理由を分け、どんな条件で不満につながるのかを具体的に見ていきます。
1. 多重下請けで給料が上がりにくい
発注元から元請け、2次請け、3次請けへと仕事が渡る構造では、間に入る会社が増えるほど、自社が受け取る金額と本人の給料の関係が見えにくくなります。担当業務を増やしても契約上の役割が変わらず、評価や昇給に反映されない職場なら不満がたまりやすいでしょう。
確認したいのは「何次請けか」という呼び名だけではありません。顧客と直接話す機会があるか、自社に価格交渉や人員配置の裁量があるか、担当工程が固定されていないかまで聞くと、経験と給料が伸びる余地を判断しやすくなります。
2. 客先常駐で職場を選べない
客先常駐では、自社ではなく取引先のオフィスやチームで働きます。案件ごとに通勤場所、使う技術、周囲の人、仕事の進め方が変わるため、配属を自分で選べない会社では「現場ガチャ」と感じる原因になります。
一方、参画前に案件内容を説明され、本人が希望を出せて、合わない案件から変更を相談できる会社なら事情は違います。帰社日が月1回あるという説明だけで安心せず、普段の相談相手、評価面談をする人、案件変更を申し出る手順を確かめることが重要です。
3. 納期前の残業や障害対応がある
システムには納期があり、公開前の修正や本番環境の障害が起きれば、予定外の対応が必要になることがあります。残業の平均が極端でなくても、深夜や休日の連絡、納期前への業務集中は生活への負担になり得ます。
運用当番のある職種と、通常の法人営業では負担の形も異なります。面接では月平均の残業時間だけでなく、繁忙期、障害時の当番、代休、顧客からの連絡を誰が受けるかを確認してください。平均値では見えない働き方が分かります。
4. 勉強し続けないと置いていかれる
技術やサービスの更新が速く、新しい用語を覚える場面はあります。ただし、全員が休日にプログラミングを学び続けるわけではありません。営業なら顧客課題と製品機能、カスタマーサクセスなら利用状況と業務設計など、職種ごとに必要な学びが違います。
問題は学習があることより、勤務時間内に情報共有や研修の時間がないことです。新機能の説明会、社内資料、先輩への相談環境があれば、仕事と学習をつなげられます。自己学習だけを前提にする職場かどうかを見ましょう。
5. 未経験で入ると補助的な業務から抜けにくいことがある
未経験者がテスト、監視、ヘルプデスクなどから始めること自体は、業務の基礎を覚える機会になります。しかし、次に担当できる工程、異動条件、学習支援が示されず、同じ仕事だけが続くならキャリアの停滞につながります。
ここはエンジニア職に固有の論点です。学習の壁や未経験採用後の待遇を詳しく知りたい人は、未経験エンジニアはやめとけと言われる理由を確認してください。本記事では、営業なども含むIT業界全体の選び方に範囲を絞ります。
6. IT営業は技術理解と数字の両方を求められる
IT営業は、顧客の課題を聞くだけでなく、製品で何ができるかを説明し、社内の技術担当へ正しくつなぐ必要があります。営業目標と製品知識の両方が求められるため、「エンジニアではないから技術は分からなくてよい」と考えて入るとギャップが生まれます。
逆に、すべての技術を自分で実装できる必要はありません。顧客の言葉を整理し、分からない点を持ち帰り、技術担当と協力できる人には適性があります。売るものが自社サービスか、人材の参画か、受託案件かによって営業の難しさも変わります。
7. AIで仕事がなくなる不安がある
AIによって、文章の下書き、調査、コード作成、問い合わせ対応などの一部は効率化されます。その変化を見て「ITの仕事そのものがなくなる」と不安になる人もいますが、導入する業務を決め、出力を確認し、顧客や社内へ説明する仕事まで自動で消えるわけではありません。
避けたいのは、手順どおりの作業だけを長く続け、担当範囲を広げられない環境です。AIの影響を職種別に整理したい人は、AIでなくなる仕事と残る仕事も参考にしてください。
厚労省の最新データで見るIT業界の実態|離職率・残業・給料
個別のつらい経験は無視できませんが、業界全体を判断するなら公的統計も必要です。令和7年の3つの調査を並べると、情報通信業は「辞める人が特別多い業界」とは読めず、残業と賃金には全産業との差があります。
| 指標 | 情報通信業 | 全産業 |
|---|---|---|
| 離職率(全体) | 10.4% | 13.7% |
| 離職率(一般労働者) | 10.0% | 11.4% |
| 入職超過率 | 3.2ポイント | 1.0ポイント |
| 残業(所定外労働時間・月) | 16.5時間 | 13.2時間 |
| 総実労働時間(月) | 160.5時間 | 160.5時間 |
| 月の賃金(年齢計) | 406.0千円 | 340.6千円 |
| 月の賃金(20〜24歳) | 262.2千円 | 242.8千円 |
| 月の賃金(25〜29歳) | 308.7千円 | 279.4千円 |
離職率は、パートタイムを含む全体で情報通信業10.4%、産業計13.7%。フルタイムに近い一般労働者だけで見ても10.0%と11.4%で、どちらも情報通信業のほうが低くなっています。離職率が最も高い宿泊業,飲食サービス業(23.7%)と比べると、半分以下です。
入職超過率は、入職率から離職率を引いた値です。情報通信業は入職率13.6%・離職率10.4%で3.2ポイント、産業計は入職率14.7%・離職率13.7%で1.0ポイントでした。
つまり、情報通信業は辞める人より入ってくる人が多く、離職率も全産業より低いと読めます。「IT業界は人がすぐ辞める」という印象だけで転職先から外す根拠にはなりません。
出典:厚生労働省「雇用動向調査(令和7年/2026年8月公表)」表4-2
労働時間は、情報通信業の所定外労働時間が月16.5時間、調査産業計が13.2時間で、情報通信業のほうが月3.3時間多い結果です。一方、所定内労働時間は情報通信業144.0時間、調査産業計147.3時間のため、総実労働時間はどちらも160.5時間でした。所定外が最も長い運輸業,郵便業は24.1時間です。
「残業が多い」という指摘には数字の裏付けがあります。ただし、所定内時間が短いため、総労働時間まで全産業より長いわけではありません。平均だけでなく、障害対応や繁忙期が自分の生活に合うかを求人ごとに確認する必要があります。
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査(令和7年分結果確報)」第2表・事業所規模5人以上・一般労働者の月間平均
賃金は所定内給与額の月額で、情報通信業が年齢計406.0千円、産業計340.6千円です。20〜24歳は情報通信業262.2千円に対して産業計242.8千円、25〜29歳は308.7千円に対して279.4千円でした。産業別で最も高いのは電気・ガス・熱供給・水道業の444.0千円です。
20代でも情報通信業の平均は全産業を上回ります。もっとも、平均賃金が高いことと、応募する会社で希望の給料を得られることは同じではありません。雇用形態、職種、役割、評価制度を確認して、自分に提示される条件で比べましょう。
出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査(令和7年)」一般労働者・男女計の賃金(所定内給与額・月額)
2chや知恵袋の「IT業界はやめとけ」という投稿は、困りごとの共有には役立ちます。ただ、満足して働く人より、合わなかった人が書き込む場面が多くなりやすく、投稿者の職種や商流も分からないことがあります。投稿を嘘と決めつけるのではなく、「同じ条件が応募先にもあるか」を質問へ変える読み方が安全です。
「やめとけ」が当たりやすい職場・当たりにくい職場
会社の立ち位置ごとに、仕事の決まり方と不満の出どころを整理します。下の表は優劣を決めるものではなく、自分が許容できる働き方かを確かめるためのものです。
| 立ち位置 | 仕事の決まり方 | よくある不満 | 確認するポイント |
|---|---|---|---|
| 自社サービス | 自社の事業方針と顧客要望で決まる | 方針変更が速い、担当範囲が広い | 主力顧客、開発体制、評価指標 |
| 元請け・SIer | 顧客と要件・納期を調整して決まる | 調整業務が多い、納期の影響が強い | 直請けの範囲、担当工程、障害対応 |
| 多重下請けの下層・SES | 取引先の案件と配属で決まる | 案件を選べない、評価が見えにくい | 商流、配属希望、待機時給与、案件変更 |
自社サービスでは、顧客の利用状況を見ながら改善しやすく、仕事の目的を理解しやすい一方、事業方針の変更で優先順位が動きます。役割の境界が細かく決まっていない会社では、幅広い仕事を面白いと感じる人と、落ち着かないと感じる人に分かれます。
元請け・SIerは、顧客と直接調整し、要件定義や進行管理を経験できる可能性があります。その代わり、複数の関係者の意見をまとめ、納期を守る責任も負います。技術だけに集中したい人は、会議や資料作成の多さを事前に確かめてください。
SESは違法でも悪でもありません。未経験者が現場経験を積む入口として機能することもあります。不満が出やすいのは、案件を選べない・単価と給料が連動しない・自社への帰属意識を持てないという状態が重なったときです。見るべきは、この3つが入社後にどう運用されているかです。
面接官の回答は、制度の有無だけでなく具体性も見てください。「希望は考慮します」で終わる会社と、「入社前に担当営業が希望を聞き、案件説明後に本人の意思を確認する」と手順まで話せる会社では、配属への向き合い方が違います。過去の配属例を尋ねたときに、担当業務と育成方法を説明できるかも判断材料になります。
3つの立ち位置に共通して確かめたいのは、仕事を誰が決めるか、困ったときに誰へ相談するか、今の経験が次の役割へどうつながるかの3点です。自社サービスでも方針変更は起こりますし、元請けでも納期調整が重い職場はあります。
求人票の「自社開発」「研修充実」という言葉だけで判断しないでください。自社開発でも顧客企業向けの受託開発を指す場合があり、研修も座学1ヶ月だけで配属後の支援がない可能性があります。誰のサービスを作るのか、研修後に誰が教えるのかまで質問しましょう。
未経験向け支援でも、紹介先の立ち位置によって入社後の働き方は変わります。支援を受ける前に、紹介先がSESに寄る理由と会社の見分け方を確認しておくと、担当者への質問を準備できます。

IT業界の営業職は「やめとけ」?エンジニア以外の入り方

IT業界への入口はエンジニアだけではありません。文系・未経験でも、前職の営業や接客で培った顧客理解、提案、調整の経験を活かせる仕事があります。ただし、IT営業も売るものによって仕事内容が変わります。
- 自社サービス(SaaS)の営業
- SIer・受託開発の営業
- SESの営業
- 通信回線・ハードウェアの営業
自社サービスの営業は、同じ製品を複数の顧客へ提案します。製品理解を積み上げやすい一方、顧客の課題に製品が合わないときは、売ることより適合性を見極める難しさがあります。
SIer・受託開発の営業は、顧客の要望を聞き、開発部門と協力して提案を組み立てます。決まった商品を説明するだけではなく、要件、予算、納期を調整する仕事が重くなります。
SESの営業は、エンジニアが参画する案件を探し、取引先と条件を調整します。企業と人の両方を理解する必要があり、案件の確保と本人の希望が一致しないと調整が難しくなります。
通信回線・ハードウェアの営業は、回線、端末、機器などを提案します。導入場所や契約条件など確認事項が多く、製品だけでなく設置・運用まで含めた説明が求められます。
僕はエンジニア経験がなく、現在は日系SaaS企業の営業としてIT業界で働いています。1回目の転職では、昔ブログを運営していた経験からWebマーケティング職を希望しましたが、未経験で書類選考がほぼ通りませんでした。
そこで別のエージェントに「将来独立したい・マーケティングに興味がある」と伝えたところ、「まずtoB営業の経験を積むのもいい」と提案されました。その助言を受けて、物流倉庫から人材会社のtoB営業へ転職し、2年半働きました。
2回目の転職では、エージェントと約3ヶ月かけて自己分析を進め、週2回のペースで15回以上の面接練習をしました。その結果、倍率100倍のSaaS企業の営業に内定し、年収は450万円から600万円へ上がりました。2025年10月から、フルリモート・フルフレックスで働いています。
あお営業は未経験から挑戦しやすく、インサイドセールスからマーケティングへ移るような横展開もしやすい職種です。Webマーケに直接入れなかった僕にとっては、toB営業の2年半が結果的にIT業界への入口になりました。
プログラミング学習を前提にしないIT業界への入り方もあります。「ITに興味がある」を「エンジニアにならなければならない」と置き換えず、今までの経験がつながる職種から考えてみてください。
SaaS営業へ移るまでの経緯や、未経験者が求人を探す順番は次の記事で詳しく解説しています。

営業職そのものが合うか不安なら、営業へ転職して後悔しやすい理由も先に確認してください。IT・Web業界の営業職を含めて求人を見たい人は、業界専門の相談先を使う方法もあります。
IT業界に向いている人・向いていない人
向き不向きは、パソコンが得意かだけでは決まりません。変化への反応、分からないことへの向き合い方、周囲との調整が仕事のしやすさを左右します。
IT業界に向いている人
- 分からない言葉を自分で調べて質問できる人
- 変化を負担だけでなく改善の機会と捉えられる人
- 顧客と社内の認識をそろえるのが苦にならない人
- 仕事内容を小さく分けて進められる人
- 職種を越えて相手の事情を理解しようとする人
新しい知識を一度で覚える必要はありません。分からない点を放置せず、調べたうえで相談できる人は、エンジニアでも営業でも成長しやすいです。また、サービスや顧客の状況が変わったときに、優先順位を組み替えられる人は自社サービス企業とも相性があります。
IT業界に向いていない人
- 一度覚えた手順だけで長く働きたい人
- 仕事内容や配属先を確認せず会社名だけで選ぶ人
- 不明点を抱えたまま一人で進めてしまう人
- 顧客や他部署との調整をすべて避けたい人
- 学ぶ時間がまったく取れない環境を望む人
当てはまる項目があっても、IT業界を諦める必要はありません。変化の少ない社内システム運用、顧客対応の少ない職種など、負担の種類を変えられる場合があります。大切なのは「向いていない」と決めることではなく、避けたい働き方を言葉にすることです。
IT業界で後悔しないための確認リスト|求人票と面接で見る7項目
求人票の印象だけでは、商流や配属の決まり方まで分かりません。応募前と面接で次の7項目を確認すれば、「入ってから初めて知った」を減らせます。
- 商流:元請け・直請けの比率
- 客先常駐の有無と帰社日
- 待機期間の給与の扱い
- 研修の中身と期間
- 配属の決まり方と希望の出し方
- 評価と給料の決まり方
- 固定残業代の時間数
商流は「顧客と直接話せるか」まで聞く
「元請け案件があります」だけでは、自分がその案件へ入れるか分かりません。「配属予定部門では、顧客と直接やり取りする案件がどのようにありますか」「入社後に担当する工程はどこですか」と、自分の配属に引き寄せて質問します。
客先常駐は相談先と案件変更の条件を見る
常駐の有無に加え、勤務地の範囲、在宅勤務の扱い、自社の上司との面談、帰社日の内容を聞きます。帰社日があっても連絡事項だけで終わるなら、育成や評価の支援にはなりません。合わない案件を変更した事例を聞くと、制度が実際に動いているか見えます。
待機期間の給料は曖昧なままにしない
SESでは、入社後すぐに参画先が決まらない場合や、案件の切れ目が生じる場合があります。その期間の雇用と給料をどう扱うかは生活に直結します。「社内で研修します」という説明だけで終わらせず、雇用条件通知書と就業規則で確認してください。
研修は名称ではなく内容と配属後支援を見る
研修充実と書かれていても、動画を見るだけか、課題へのフィードバックがあるかで中身は違います。期間、教材、質問相手、勤務時間内に受けられる範囲、研修後の配属基準をセットで聞きましょう。
配属は希望を出せる時点を確認する
「希望を考慮」は、希望どおりになる保証ではありません。案件を提示される前に希望を伝えられるのか、断った場合に不利益があるのか、営業担当がどこまで調整するのかを聞くと実態に近づけます。
評価と給料は誰が何を見て決めるか聞く
客先で働く場合、自社の評価者が日々の仕事を直接見ていないことがあります。顧客評価、保有スキル、担当工程、契約単価など、何が昇給へ反映されるのかを確かめます。評価面談の頻度だけでなく、目標設定と結果の伝え方も重要です。
固定残業代は金額だけでなく時間数を見る
月給が高く見えても、固定残業代を含む場合があります。何時間分か、超過分は別途支給されるか、基本給はいくらかを分けて確認しましょう。求人票の誤解しやすい表現は、求人票の嘘を見抜くポイントでも解説しています。
商流や待機時の給料は、応募者から面接で聞きにくい項目です。IT未経験で29歳までなら、未経験向け求人を扱うウズウズITを通じて、紹介前に確認してもらう方法があります。紹介された求人は、ここまでの7項目と照らして比べる材料にしてください。
すでにIT業界にいて「やめとけ」が当たっていた人の選択肢
すでに働いていて、案件を選べない、評価されない、障害対応がつらいと感じているなら、「IT業界を辞める」以外にも選択肢があります。業界を出る前に、会社の立ち位置を変えるだけで解決するかを先に考えてみてください。
立ち位置を上げる|自社サービス・元請けへ移る
下請けで担当工程が固定されているなら、自社サービス企業や元請けで、顧客との距離が近い仕事へ移る方法があります。転職では「IT経験あり」だけでなく、担当工程、扱ったシステム、顧客や他部署との調整、改善したことを具体的に伝えます。
ただし、立ち位置が上がるほど調整業務や説明責任が増える場合があります。技術作業へ集中したいのか、顧客に近い上流工程へ進みたいのかを分けて考えましょう。
職種を変える|経験を別の役割へつなぐ
エンジニア経験を、IT営業、カスタマーサクセス、社内SEなどへつなぐ道もあります。技術用語が分かり、利用者が困る場面を想像できることは、顧客説明や社内調整で強みになります。
仕事内容を変えたいときは、「何から離れたいか」だけでなく「何なら続けたいか」を整理してください。障害対応は避けたいが顧客への説明は得意、開発は合わないが業務改善は好き、と分けると次の職種を選びやすくなります。
業界を出る|IT経験を持って別業界へ移る
立ち位置や職種を変えても解決しないなら、別業界へ移る判断も間違いではありません。IT業界で身につけた、情報を整理する力、仕組みを説明する力、複数部署を調整する力は、他業界でも使えます。
退職を急ぐ前に、つらさの原因を「業界」「会社」「職種」「働き方」に分けて書き出してみてください。客先常駐が合わないなら自社勤務、夜間対応がつらいなら当番のない職種、評価の不透明さが問題なら基準を開示する会社というように、原因と次の条件を一対一で結びます。原因が会社固有なら、IT業界で積んだ経験を捨てずに環境だけ変えられます。
反対に、ITサービスへの関心そのものがなく、変化の速さや継続的な知識更新を避けたいなら、業界を変える選択にも合理性があります。次の会社でも同じ不満を繰り返さないために、退職理由をそのまま応募条件へ置き換えることが大切です。
IT・Web・ゲーム業界の中で会社や職種を変えたい人は、Geeklyに希望条件を伝え、今の経験で選べる求人を確認する方法があります。
現在ITエンジニアとして実務経験があり、技術職のまま次の会社を探したい人は、👉 レバテックキャリアに相談する選択肢もあります。対象はITエンジニア経験者で、全国の求人に対応しています。
相談先によって対象者と得意な求人は異なります。IT業界内で転職すると決めたら、次の記事でエージェントの選び方を確認してください。

IT業界の「やめとけ」に関するよくある質問
最後に、IT業界への転職を迷う人から出やすい疑問をまとめます。気になる質問を開いて確認してください。
IT業界はブラック企業が多い?
業界名だけでは判断できません。公的統計では情報通信業の一般労働者の離職率は10.0%で、産業計11.4%より低い一方、所定外労働時間は月16.5時間で調査産業計13.2時間より長い結果です。商流、客先常駐、障害対応、固定残業代を会社ごとに確認してください。
文系・未経験でもIT業界に入れる?
営業、カスタマーサクセス、サポートなど、プログラミングを前提にしない職種があります。前職の顧客対応や提案経験をIT企業の仕事へどうつなげるかを説明できると、職種選びの幅が広がります。エンジニア志望なら、研修後の配属と育成まで確認しましょう。
SESはやめたほうがいい?
SESという仕組みだけで決める必要はありません。未経験から経験を積む入口になる場合もあります。案件を選べるか、待機時の給与、評価制度、自社の相談相手、案件変更の手順を確認し、納得できない条件が重なる会社を避けましょう。
AIでIT業界の仕事はなくなる?
一部の作業は効率化されますが、どの業務に使うかを決め、結果を確認し、顧客や社内へ説明する役割は残ります。定型作業だけにとどまらず、顧客理解、設計、判断、調整へ担当範囲を広げられる環境かを見ることが重要です。
20代後半からでも間に合う?
20代後半という年齢だけで諦める必要はありません。エンジニア、営業、サポートでは求められる準備が異なります。これまでの経験を活かせる職種を選び、未経験向け求人では研修内容と配属条件を確認してください。ウズウズITは29歳までが対象です。
2chや知恵袋の「やめとけ」はどこまで信じていい?
困った経験を知る材料にはなりますが、投稿者の会社、職種、商流が応募先と同じとは限りません。書き込みに出てくる不満を、面接で確かめる質問へ変えて使いましょう。業界全体の傾向は公的統計、個社の条件は求人票と面接で分けて確認します。
まとめ|IT業界をやめるか決める前に、会社の立ち位置を確かめよう
「IT業界はやめとけ」という言葉は、多重下請けの下層、本人が選べない客先常駐、配属後の育成がない職場では現実になり得ます。一方、令和7年の厚生労働省統計では、情報通信業の離職率は全産業より低く、月の賃金は20代を含めて全産業より高い結果でした。残業は月3.3時間多いものの、総実労働時間は同じ160.5時間です。
判断の軸は「IT業界かどうか」ではなく、会社の立ち位置・職種・育成です。自社サービス、元請け、SESにはそれぞれ違う負担があります。求人票の魅力的な言葉をそのまま受け取らず、商流、配属、待機時給与、研修、評価、固定残業代を具体的に確認してください。
未経験なら、エンジニアだけに絞らず、営業やカスタマーサクセスを含めて入口を探す方法があります。すでにIT業界にいるなら、業界を出る前に立ち位置や職種を変えるだけで悩みが解決しないかを検討しましょう。強い言葉で進路を決めず、自分が働く会社の中身で選ぶことが後悔を減らします。


