「IT転職エージェント おすすめ」で検索すると、30社・39社といったランキング記事が並びます。数を並べられても、結局どれが自分に合うのかは分からないままになりがちです。
この記事はランキングを作りません。まずIT業界の求人が実際どれくらい開いているのかを公的統計で確認し、そのうえでエージェントを3タイプに分けます。個別のサービスについては、利用規約や退会方法まで1社ずつ調べた記事へ案内します。
先に結論を書くと、情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.39倍です。全職業平均の1.10倍は上回りますが、営業の2.14倍と比べるとかなり低いのが実態です。
「ITは人手不足」はどこまで本当か──求人倍率で確認する

IT転職の記事はほぼ例外なく「IT人材は不足している」から始まります。ただ、その不足がどの程度の数字なのかを示している記事はほとんどありません。ハローワークの求人・求職を集計した厚生労働省の統計で確認します。
| 職業 | 有効求人倍率 | 新規求人倍率 |
|---|---|---|
| 営業職業従事者 | 2.14倍 | 3.21倍 |
| 販売従事者 | 1.88倍 | 2.85倍 |
| 情報処理・通信技術者 | 1.39倍 | 2.66倍 |
| 職業計(全職業平均) | 1.10倍 | 1.82倍 |
| 一般事務従事者 | 0.37倍 | 0.67倍 |
平均より上だが、「引く手あまた」ではない
情報処理・通信技術者の1.39倍は、求職者1人に対して求人が1.4件ある状態です。全職業平均を上回っているのは事実ですが、営業や販売と比べれば明らかに競争があります。
「IT業界なら誰でも入れる」という前提で動くと、書類が通らない段階で驚くことになります。人手が足りていないのは即戦力のエンジニアであって、未経験者の枠が無条件に広いという意味ではありません。
新規求人倍率との差が示していること
もう一段深く見ると、情報処理・通信技術者は新規求人倍率2.66倍に対し、有効求人倍率が1.39倍と差が開いています。新しく出る求人は多いのに、有効の段階では倍率が半分近くまで落ちるということです。
営業(3.21倍→2.14倍)と比べても落ち幅が大きく、これは求人が出てもすぐには決まらず、求職者側が滞留している状態を示しています。応募が集中して選考が長引く、条件が合わずマッチングしない、といったことが起きやすい領域だと読めます。
IT転職エージェントは3タイプに分かれる

数十社を横並びにしても選べません。タイプを決めてから、その中で2社ほど比べるのが現実的です。IT向けのサービスは大きく3つに分かれます。
| タイプ | 対象 | 向いている人 | 代表サービス |
|---|---|---|---|
| エンジニア特化型 | 開発経験のある人が中心 | 実務経験があり、年収や技術領域を上げたい | レバテックキャリア |
| IT・Web総合型 | エンジニア+Web職・営業職 | 職種を広めに見て決めたい | Geekly / type転職エージェント |
| 未経験・学習支援型 | 実務未経験 | 学習しながら就職先を探したい | ウズウズIT / テックゴー |
| (参考)転職サイト型 | 自分で検索して応募 | スカウトを受けながら自分で探したい | Green |
実務未経験でエンジニア特化型に登録すると、紹介できる求人がないと言われることがあります。これはサービスが悪いのではなく、対象がずれているだけです。まず自分がどのタイプに当てはまるかを決めてください。
未経験・学習支援型は、紹介先がSES(客先常駐)に寄ることがあります。SESが悪いわけではありませんが、配属先が入社後に決まる働き方なので、事前に理解しておく必要があります。この点は個別記事で詳しく検証しています。
ランキングではなく「1社ずつ調べた記事」から選ぶ
IT転職エージェントの比較記事は、おすすめ30選・39選といった形が主流です。数は多いのですが、各社の紹介はどれも似た褒め方で終わっていることがほとんどです。
転職論では逆のやり方をしています。数を並べる代わりに、1社ずつ利用規約や運営会社を調べ、退会方法や「断られた」と言われる理由まで確認した記事を用意しました。登録する前に、そのサービスで何が起きるのかを知っておくためのものです。
1社ずつ調べた記事
調べてみて分かったこと
個別に確認していくと、ランキング記事では出てこない事実がいくつも出てきました。
- 紹介先がSESに寄る構造には理由がある(学習支援型の収益モデルと関係する)
- 「断られた」の多くは対象条件のズレ(実務経験の有無で線が引かれている)
- 退会手続きがサービスごとに大きく違う(メール停止と退会が別のことがある)
- 口コミが実際にはほとんど存在しないサービスもある
こうした部分は、登録して初めて気づくと後戻りが面倒です。先に読んでおくと、登録する順番を決めやすくなります。
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未経験からITを目指すなら、先に読む記事
求人倍率の項で書いたとおり、不足しているのは即戦力のエンジニアです。未経験から入る場合は、職種と入り方を先に決めておかないと空回りします。
未経験から目指す人が先に読む記事
とくに「エンジニア未経験はやめとけ」という言葉が気になっている場合は、その理由を分解した記事から読んでください。やめとけと言われる理由の大半は、入る前に確認できる条件の話です。感情論ではなく、確認項目として整理してあります。
IT・Webで未経験から狙いやすい職種

「IT=プログラミング」と考えると選択肢が狭くなります。実務未経験から入りやすいのは、次のような職種です。
| 職種 | 仕事の中身 | 未経験から入りやすい理由 |
|---|---|---|
| IT・SaaS営業 | 法人へのオンライン提案、導入支援 | 前職の営業経験をそのまま持ち込める |
| カスタマーサクセス | 導入後の活用支援、解約防止 | 接客・サポート経験が評価されやすい |
| Webマーケティング | 広告運用、コンテンツ企画、分析 | 数字を追う習慣があれば入りやすい |
| Webディレクター | 制作進行、要件の取りまとめ | 調整・進行管理の経験が活きる |
| ITサポート・ヘルプデスク | 社内外の問い合わせ対応 | IT知識を実務で身につけられる入口 |
| インフラエンジニア | サーバー・ネットワークの構築運用 | 資格取得で評価されやすく、研修つき求人が多い |
開発職にこだわらなければ、前職の経験を活かして先にIT業界へ入り、そこから職種を変えるという進み方もできます。業界に入ってしまえば、社内の異動やジョブチェンジの機会は外から狙うより多くなります。
あお求人票に「IT業界」とだけ書かれていても、中身は自社開発からSESまでバラバラです。僕が転職活動をしていたときは、企業の採用ページで「どこの誰に何を売っている会社か」を先に確認していました。そこが書かれていない会社は、面接で聞くまで実態が分かりませんでした。
未経験が最初につまずく「SIer・受託・自社開発」の違い
IT業界の求人を見始めると、SIer、受託開発、自社開発、SESといった言葉が出てきます。この分類を知らないまま応募すると、入社後の働き方がまったく違って驚くことになります。求人票の言葉より、まずこの構造を押さえてください。
| 形態 | 働き方 | 未経験の入りやすさ | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自社開発 | 自社のサービスを社内で開発・運用 | 低め(実務経験を求められやすい) | 求人数が少なく競争が起きやすい |
| 受託開発 | クライアントの依頼を自社で開発 | 中くらい | 納期と要件が外部に依存する |
| SIer | 大規模システムの企画から運用まで | 中くらい(新卒・第二新卒枠あり) | 上流と下流で仕事内容が大きく変わる |
| SES | 客先に常駐して開発・運用を担当 | 高い(未経験求人が多い) | 配属先が入社後に決まることがある |
未経験求人が多いのはSES。だから構造を知っておく
未経験歓迎の求人が最も多いのはSESです。入口が広いのは事実で、実務経験を積む場としては現実的な選択肢になります。
一方で、SESは客先に常駐して働く形態なので、どの現場に配属されるかで経験の中身が変わります。開発に関われる現場もあれば、運用監視やヘルプデスク中心の現場もあります。「エンジニアとして採用されたのに、テスト作業ばかりだった」という話が出るのはこの構造が原因です。
未経験のIT転職で、年収はどう動くか
年収については「IT業界は年収が高い」という説明をよく見かけますが、未経験入社の初年度に限れば下がるほうが普通です。ここを誤解したまま動くと、内定が出た段階で迷うことになります。
下がる理由と、戻る道筋
未経験入社は、実務経験のある人と同じ土俵では評価されません。前職で営業や販売の経験があっても、エンジニア職として入るなら経験年数はゼロからのカウントになります。
ただしITは経験年数と技術領域で評価が変わる領域なので、上がり方も他業種より読みやすいのが特徴です。3年程度の実務を積んでから転職すると、エンジニア特化型エージェントの対象範囲に入り、選べる求人の幅が変わります。
職種を変えずに業界だけ変えるという選択
年収を下げたくない場合、職種は変えずにIT業界へ移るという進み方があります。営業なら営業のままIT・SaaS企業へ、事務なら事務のままIT企業へ、という形です。
この場合は職種の経験がそのまま評価されるので、年収が下がりにくくなります。IT業界の中で働きながら開発職への異動を狙う、という順番も現実的です。
職種を変えずに業界を変えるなら
エージェントに登録する前に決めておく3つのこと
タイプを選んだら、登録前に決めておくことがあります。ここが曖昧だと、初回面談で条件が定まらず、紹介される求人もぶれます。
- 実務経験があるか、ないか(対象サービスがここで分かれる)
- 開発職を目指すのか、IT業界に入るのが目的なのか
- 年収が一時的に下がることを受け入れられるか
とくに②は重要です。「ITに興味がある」だけで登録すると、エンジニア求人ばかり紹介されて話がかみ合いません。IT業界の営業やカスタマーサクセスを見たいなら、初回面談でそう伝えてください。
③については、下がり幅の許容範囲を数字で決めておくと判断が早くなります。「50万円までなら受け入れる」と決めていれば、内定が出たときに迷いません。
あお2回目の転職の初回面談で「IT業界に興味があって」と言ったら、担当の方に最初に「開発ですか、それ以外ですか」と聞かれました。営業と答えたので、そこから紹介される求人が一気に絞られたんです。曖昧なまま面談に行くと、この絞り込みが起きないまま話が進みます。
【体験談】未経験から日系SaaS企業へ移ったときにやったこと
僕は人材会社での営業経験を活かして、日系SaaS企業の営業職へ転職しました。開発職ではありませんが、IT業界という意味では完全な未経験からのスタートです。
振り返ると、採ってもらえた理由は「これまでの営業経験を、IT業界でどう活かせるか」を言語化できたことだったと思います。「ITに興味があります」ではなく、「人材業界で法人の課題をヒアリングしてきた経験は、SaaSの導入提案でも同じ形で使える」という説明の仕方です。
2回目の転職ではエージェントとの初回面談が3時間あり、そこで前職の経験をひとつずつ分解しました。IT業界に入るために必要だったのは技術知識ではなく、持っている経験の翻訳でした。開発職を目指す場合は学習が必要ですが、業界に入るだけならこの翻訳作業のほうが効きます。

IT転職エージェントの使い方|登録から内定までの流れ
おすすめを紹介する記事は多いのですが、登録したあと何が起きるかを書いた記事はほとんどありません。流れを知らないまま登録すると、初回面談で準備不足のまま条件を決めてしまいます。
①登録(5〜10分)
フォームで職歴・希望条件を入力します。この時点では詳しく書けなくて構いませんが、「実務経験の有無」だけは正確に入れてください。ここがずれると、対象外のサービスから連絡が来て時間を使います。
②初回面談(60分〜)
キャリアアドバイザーと経歴・希望をすり合わせます。ここで話した内容が、そのあと紹介される求人の範囲を決めます。開発職を目指すのか、IT業界に入るのが目的なのかを最初に伝えてください。
未経験の場合、この面談で「まだ紹介できる求人がない」と言われることもあります。落ち込む必要はなく、対象がずれているだけです。タイプの違うサービスに切り替えれば話が進みます。
③求人紹介・書類作成
紹介された求人のうち、応募するものを選びます。職務経歴書はエージェント側で添削してもらえることが多いので、自分で完璧に仕上げてから出す必要はありません。たたき台を渡して直してもらうほうが早く進みます。
④選考・面接対策
IT業界は一次面接がオンラインのことが多く、日程調整もエージェントが代行します。面接前に「その企業でよく聞かれること」を教えてもらえるかどうかは、担当者によって差が出る部分です。
⑤内定・条件交渉
年収や入社日の交渉はエージェント経由で行えます。未経験入社では提示額が想定より低いことがあるので、事前に決めた許容範囲と照らして判断してください。この段階で初めて条件を考え始めると、期限に追われて決めることになります。
IT転職エージェントは何社使えばいいか
「3社以上に登録すべき」と書かれていることが多いのですが、未経験の場合はまず1社を深く使うほうが進みます。理由は、経歴の説明の仕方が固まっていない状態で複数の面談を受けると、話す内容がぶれるからです。
1社目で軸を作り、足りない部分を足す
おすすめの順番は次のとおりです。
- 自分のタイプに合うサービスを1社選び、初回面談で経歴を整理する
- 紹介された求人を見て、希望とのズレを確認する
- 求人の幅が足りなければ、別タイプを1社足す
最初から3社に登録すると、同じ話を3回することになり、日程調整だけで数週間が過ぎます。1社目は「求人を得るため」ではなく「自分の説明の型を作るため」に使うと考えると、無駄がありません。
複数のエージェントから同じ企業に重複応募すると、選考が止まることがあります。企業側で応募経路が競合するためで、候補者に落ち度がなくても不利になります。2社目以降を使うときは、応募済みの企業を必ず共有してください。
未経験で書類が通らないときに見直すこと
有効求人倍率1.39倍という数字は、応募すれば通るという意味ではありません。未経験で書類が通らない場合、原因はだいたい次のどれかです。
- 実務経験を求める求人に応募している(対象条件のズレ)
- 「ITに興味がある」以上の理由が書けていない
- 前職の経験がIT業界でどう使えるかを翻訳していない
- 学習の実績が何も示せていない
1つ目は求人の選び方の問題なので、エージェントに「実務未経験可の求人だけ」と伝えれば解決します。2つ目と3つ目は書き方の問題で、前職の業務を分解して、IT業界の仕事と重なる部分を具体的に書けば変わります。
4つ目は開発職を目指す場合に効きます。資格でも個人開発でも構いませんが、「学習を続けられる人か」を見られているという前提で用意してください。
IT転職に資格は必要か
未経験の相談でよく出るのが資格の話です。結論から言うと、資格だけで採用が決まることはほぼありません。ただし「学習を続けられる人か」を示す材料としては機能します。
資格が効く場面・効かない場面
- 実務経験がなく、学習の継続を示したいとき
- インフラ系など、資格が評価に組み込まれている領域を狙うとき
- 面接で「なぜITなのか」を裏づけたいとき
- 資格を取ってから応募しようとして、応募が半年先になるとき
- 実務経験者と同じ土俵で評価されると期待するとき
- 職種を決めないまま、とりあえず取ろうとするとき
順番としては、応募と学習を並行させるほうが早いです。書類が通らない理由が学習実績の不足だと分かってから取り組んでも遅くありません。先に求人を見れば、その職種で実際に求められている内容も分かります。
IT転職エージェントに関するよくある質問
IT転職エージェントは未経験でも使えますか?
使えますが、サービスによって対象が違います。エンジニア特化型は実務経験者が中心なので、未経験で登録すると「紹介できる求人がない」と言われることがあります。未経験の場合は、IT・Web総合型か未経験・学習支援型から選んでください。
何社くらい登録すべきですか?
未経験ならまず1社を深く使うほうが進みます。経歴の説明の型が固まっていない状態で複数の面談を受けると、話す内容がぶれるためです。1社目で経歴を整理し、求人の幅が足りないと感じたら別タイプを1社足す、という順番がおすすめです。
実務経験がないと断られますか?
断られるというより、対象条件が合わないケースがほとんどです。エンジニア特化型のサービスは実務経験者を前提にしているため、未経験だと紹介できる求人がありません。サービスの質の問題ではないので、タイプを変えれば話は進みます。
SESはやめたほうがいいですか?
一概には言えません。未経験求人が最も多いのはSESで、実務経験を積む入口としては現実的です。ただし客先に常駐する形態なので、配属先によって経験の中身が変わります。面接で「配属先はいつ決まりますか」「直近の未経験入社の方はどんな現場でしたか」を確認してください。
未経験のIT転職で年収は下がりますか?
エンジニア職として入る場合、初年度は下がることが多いと考えてください。実務経験がゼロからのカウントになるためです。一方、営業やカスタマーサクセスなど職種を変えずにIT業界へ移る場合は、職種経験がそのまま評価されるので下がりにくくなります。
資格は取ってから応募すべきですか?
応募と学習は並行させるほうが早いです。資格だけで採用が決まることはほぼなく、「学習を続けられる人か」を示す材料として機能します。先に求人を見れば、その職種で実際に何が求められているかも分かります。
登録したけれど使わない場合はどうすればいいですか?
退会かメール配信停止の手続きをしておくと連絡が止まります。注意したいのは、サービスによって「配信停止」と「退会」が別の手続きになっていることです。停止しただけでは登録情報は残るので、完全にやめたい場合は退会の導線を確認してください。
30代・40代でも未経験からITに行けますか?
20代より選択肢は狭まりますが、道がないわけではありません。前職の業界知識を活かせる領域を狙う、開発職ではなくIT営業やカスタマーサクセスから入る、といった方法があります。年代別の現実的な戦略は個別記事で扱っています。
まとめ|数を並べるより、タイプを決めて1社ずつ確認する
IT転職は「人手不足だから入りやすい」と語られがちですが、数字で見ると景色が変わります。整理すると次のとおりです。
- 情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.39倍。全職業平均1.10倍は上回るが、営業2.14倍より低い(厚生労働省・令和8年3月分)
- 新規求人倍率2.66倍との差が大きく、求人は出ても決まりにくい領域だと読める
- 不足しているのは即戦力のエンジニア。未経験の枠が無条件に広いわけではない
- エージェントはエンジニア特化/IT・Web総合/未経験学習支援の3タイプ。対象がずれると紹介されない
- 未経験求人が多いSESは配属先が入社後に決まることがあるので、面接で確認する
- 登録はまず1社を深く。最初から3社に登録すると日程調整で数週間が過ぎる
おすすめ30選を上から順に登録しても、自分に合うかどうかは分かりません。タイプを1つ決めて、そのサービスを個別に調べてから登録するほうが、結果的に早く進みます。




